第33号 2011年08月9日
メルマガ vol.33 「IFRSへの取り組み 企業インタビュー3(第3回)」
今回も前回に引き続きIFRS導入プロジェクトを推し進める企業のインタビューレポートをお伝えします。
前回までのレポートで、全体的な導入スケジュールと導入プロジェクトの概要(第31号)、主として営業部門に関わる問題として契約書の論点、社内的な意思決定プロセスに及ぼす影響(第32号)をお伝えしましたが、最終回の今回はそれ以外の論点、経理部門の状況やIFRSコンサルティングの状況等についてお伝えします。
Q:IFRSの導入に伴って、営業のシステム面の変更はあるのでしょうか?
全面的に変更されるものと思っています。ERPの契約更新時期を機にIFRSへと舵を取った企業もあるくらいですから、会計システムだけではなく、営業や財務などの会社の基幹システムを含むシステム全体に大きな変化があるでしょう。
IFRS導入時には、連結ベースで迅速な経営管理・意思決定を行う必要がありますし、頻繁に改訂される会計基準にも対応できるERPを構築することが重要だと思います。
Q:IFRSには様々な部門の方々が携わっている事を伺いましたが、やはり中心的な役割を果たすのは経理部であると思います。社内の経理部門は忙しそうですか?
そうですね。会計に関して専門家ではない私たちも大変ですが、やはり一番大変なのは経理部でしょうね。全社の色々な部署の色々な人から影響度調査の情報が入ってきますので、それらをまとめ、社内的な調整を行う必要があります。さらに新しいIFRSの情報も入手し、関係部署に発信していかなければならないという状況ですから、必然的に経理部の方の業務量は多くなっているように見受けられます。
特に経理部の方は私たちの営業部門含め各部署に対して「いかにして当事者意識をもってもらうか」に心を砕いているように思います。
「IFRSは単に会計基準の問題だから、経理部に任せておけばいい」という対応では到底全社的な対応を図ることはできません。私たち営業部門でも、IFRSに完全に移行した場合には、各事業部の業績評価のあり方も変わってくるものだと考えています。
Q:さて、御社では、大手監査法人のIFRSコンサルティングサービスを受けていらっしゃいますが、その概要をお聞かせください。
3~5人程度の会計士の方がほぼ当社に張り付いて作業をされています。定期的なIFRSセミナー等も彼らが軸となって行っています。
もちろん現場での課題の洗い出しやその解決にも参加します。私も自分自身が担当しているプロジェクトの内容についてヒアリングを受けたことがあります。
Q:IFRSに関して求められているアドバイスとはどのようなものでしょうか?
当社が受けているIFRSコンサルティングサービスでは、IFRSの知識や基準の解説・アップデートは的確に行って頂いています。ただ、会計監査ではないのでもう少し会社側に立った会計的なアドバイスをして頂きたいと思うことはあります。例えば、グループ・アカウンティング・ポリシーの策定にあたり、ある会計的な事象に対してIFRSではAというポリシーも採用できるしBというポリシーも採用できるというような場合に、どちらが会社にとって有利な選択なのかについて、会社の視点からもう少しアドバイスをしてもらえると助かります。
また、日々IFRSを現場に展開していくと毎日のように課題・疑問が生じてきますので、迅速に対応して頂けるとありがたいですね。
Q:最後に、実際にIFRS導入プロジェクトに携わってみた感想をお聞かせください。
IFRS導入プロジェクトは、当社では数年間かかるプロジェクトであり、さらにIFRSは導入すれば終わり、というものではありません。IFRSは「ムービング・ターゲット」と言われるように頻繁に基準が変更されますから、導入後はその変化にしっかりとついていく必要があります。
影響も様々な部門に及ぶ甚大なものです。そうであるからこそIFRS適用の目標年度を定め、会社一丸となって早めに取り組む必要があると思います。
今回、このインタビューを通じて、特に印象的だったのは「IFRS適用国の企業とビジネスをする時に、彼らはIFRSベースで物事(投資案の採算等)を考えている。」という点です。
今年(2011年)から韓国とカナダがIFRSを導入するのをはじめ、2012年にはシンガポール、2013年には台湾などの世界の経済に大きな影響を及ぼす国々がIFRSを取り入れる予定になっています。従って、これからは日本国内の企業がIFRS適用国とビジネスを行う機会は年々増加することとなります。
国際的なビジネスを行う企業にとって、これらの国々と同じ土俵で戦うために、IFRSの導入は喫緊の課題であるということを改めて痛感しました。
